2024/01/31
コロナ過を体験して以降、世の中に多くの変化が起こりましたが、人混みが苦手になってしまった人も増えて、あれほど必死に並んでいた初詣さえも、大きく日をずらして参拝することに抵抗がなくなりました。
今回は、神社やお寺の本殿や拝殿の前、あるいは参道の両脇に置かれている「狛犬」についてお話ししたいと思います。
「狛犬」のルーツは、紀元前6000年のメソポタミア文明にまでさかのぼります。
当時、ライオンは権威と力の象徴として人々に崇められていたことから、王とその一族を守る守護獣とされました。
かの有名なエジプトの「スフィンクス」も頭は人間ですが身体はライオンで、王の墓ピラミッドを守る役割を担っています。
やがて、ライオンの守護獣は世界中に形を変えて広まり、ヨーロッパ、ギリシャから東へと伝えられ、古代インド、中国、朝鮮半島、そして日本へと、仏教を通じて霊獣「獅子」として伝わりました。
当時の「獅子」は、二体とも大きく口を開けて、向き合うように造られた「左右対称(symmetry)」の姿だったのです。
しかし、古代日本人は、人が作為的に生み出す「左右対称」よりも「左右非対称(asymmetry)」を好んだので、同じ獅子を並べずに新たな生き物である日本独自の霊獣をつくり、それを「狛犬」と呼んで中国の霊獣「獅子」と組ませたのです。
左側の「獅子」は大きく口を開けた「阿形(あぎょう)」の姿に、右側の「狛犬」は獅子のようでありながら頭に角を生やして口をぐっと引き締める「吽形(うんぎょう)」の姿にしました。
平安時代には、この「獅子×狛犬」バージョンが宮中の調度品として、魔除けのために天皇の左右に置かれていましたが、後に神や仏のいる神聖な場所を守るために、神社やお寺にも置かれるようになっていきました。
当初は、木彫りの「狛犬」で、神社やお寺の屋内に置かれていたのですが、屋内から屋外にまで広がって、現在の雨風に強い石造りの「狛犬」になりました。
ところが、江戸時代になると、大名や武将だけでなく、一般庶民まで石造りの「狛犬」を地元の神社に奉納するようになり、「狛犬」を見たことがない石工は人伝えに聞いた話をもとに、おのおの自由に「狛犬」を作っていったのです。
こうして、伝言ゲームのように少しずつ間違えた情報が広まって、人伝えで「狛犬」が日本全国に広まる間に、いつしか角はなくなってしまいました。
しかも、間違えた「角なし」の方が多くなったことで、「角なし」が「狛犬」のイメージとして定着し、見た目は左右とも「獅子」なのに、名前は「狛犬」と呼ばれるようになりました。
でも実は、消えた「獅子」の方が「狛犬」より格上だったんですよ。
それは、古代中国の「左優位」の考え方にあり、神や仏から見て左側にある「獅子」が、右側にある「狛犬」よりも格が上であることを意味していました。
お問い合わせは、ホームページの「お問い合わせ」からお気軽にお声がけください。
今度、神社やお寺に参拝に行かれる際は、「狛犬」がどんな風に伝わってそうなったのかを想像してみると味わい深いですね。
[ Room Turn Blue ~ ルームターンブルー ~ ]
臨床心理士 / 公認心理師 / キャリアコンサルタント / CEAP / EAPコンサルタント / CBT Therapist®︎ / CBT Professional(EAP) / CBT Extra Professional ®︎
目白駅から徒歩2分
池袋駅から徒歩10分
今回は、神社やお寺の本殿や拝殿の前、あるいは参道の両脇に置かれている「狛犬」についてお話ししたいと思います。
「狛犬」のルーツは、紀元前6000年のメソポタミア文明にまでさかのぼります。
当時、ライオンは権威と力の象徴として人々に崇められていたことから、王とその一族を守る守護獣とされました。
かの有名なエジプトの「スフィンクス」も頭は人間ですが身体はライオンで、王の墓ピラミッドを守る役割を担っています。
やがて、ライオンの守護獣は世界中に形を変えて広まり、ヨーロッパ、ギリシャから東へと伝えられ、古代インド、中国、朝鮮半島、そして日本へと、仏教を通じて霊獣「獅子」として伝わりました。
当時の「獅子」は、二体とも大きく口を開けて、向き合うように造られた「左右対称(symmetry)」の姿だったのです。
しかし、古代日本人は、人が作為的に生み出す「左右対称」よりも「左右非対称(asymmetry)」を好んだので、同じ獅子を並べずに新たな生き物である日本独自の霊獣をつくり、それを「狛犬」と呼んで中国の霊獣「獅子」と組ませたのです。
左側の「獅子」は大きく口を開けた「阿形(あぎょう)」の姿に、右側の「狛犬」は獅子のようでありながら頭に角を生やして口をぐっと引き締める「吽形(うんぎょう)」の姿にしました。
平安時代には、この「獅子×狛犬」バージョンが宮中の調度品として、魔除けのために天皇の左右に置かれていましたが、後に神や仏のいる神聖な場所を守るために、神社やお寺にも置かれるようになっていきました。
当初は、木彫りの「狛犬」で、神社やお寺の屋内に置かれていたのですが、屋内から屋外にまで広がって、現在の雨風に強い石造りの「狛犬」になりました。
ところが、江戸時代になると、大名や武将だけでなく、一般庶民まで石造りの「狛犬」を地元の神社に奉納するようになり、「狛犬」を見たことがない石工は人伝えに聞いた話をもとに、おのおの自由に「狛犬」を作っていったのです。
こうして、伝言ゲームのように少しずつ間違えた情報が広まって、人伝えで「狛犬」が日本全国に広まる間に、いつしか角はなくなってしまいました。
しかも、間違えた「角なし」の方が多くなったことで、「角なし」が「狛犬」のイメージとして定着し、見た目は左右とも「獅子」なのに、名前は「狛犬」と呼ばれるようになりました。
でも実は、消えた「獅子」の方が「狛犬」より格上だったんですよ。
それは、古代中国の「左優位」の考え方にあり、神や仏から見て左側にある「獅子」が、右側にある「狛犬」よりも格が上であることを意味していました。
お問い合わせは、ホームページの「お問い合わせ」からお気軽にお声がけください。
今度、神社やお寺に参拝に行かれる際は、「狛犬」がどんな風に伝わってそうなったのかを想像してみると味わい深いですね。
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