認知行動療法の基礎知識③(特徴)

今回は、認知行動療法について、5つの特徴を簡単に説明したいと思います。

 

<認知的技法と行動的技法>
認知行動モデルでは、認知と行動の関係が双方向的であることを強調しています。
つまり、認知的介入がうまく実行されれば、行動によい影響がもたらされますし、行動的介入からプラスの行動変化があれば、一般的には考え方の改善や望ましい認知変化に結び付いていきます。

 

<問題志向型アプローチ>
基本的に「今、ここで(here and now)」起きていることに焦点を当てて、具体的に現在の問題を解決していきます。
現在の出来事に対する反応は、遠い過去の反応よりも対処しやすく、確認しやすいので、現在の絶望感や無力感、そして症状に対抗するのに役立ちます。

 

<短期間>
問題志向型なので、短期間で実施されることが多いですが、パーソナリティ障害、統合失調症、神経発達症などの場合には、長期にわたることがあります。
各セッションは、通常1回30~60分間で実施(1回のセッション時間は固定)されますが、症状が重く、集中力が低下している方には短いセッションが推奨されます。

 

<協同的経験主義>
クライエントと良好な関係を築き、クライエントを暖かく受け入れると同時に、認知行動療法では、クライエントの考えや思いこみを、カウンセラーとクライエントが一緒になって「科学者」のように検証していく「協同的経験主義」と呼ばれる関係の重要性が強調されています。
カウンセラーとクライエントの間に「協同的」なプロセスがあってはじめて認知行動療法が成立しますから、カウンセラーは極めて協同性の高いプロセスの中でクライエントにかかわり、目標やアジェンダを設定したり、フィードバックのやり取りなどを行います。
また、技法をホームワークとして日常生活の行動に組み入れて実践し、それが有効であったかどうかを「経験」に基づいて吟味します。
その際に、「経験」というレンズをとおして「認知の歪み」と非生産的な「行動パターン」をとらえることによって、合理性を高め、問題を軽減し、有効に動けるように支援します。

 

<ソクラテス式質問法(ソクラテス式問答)>
認知行動療法では、クライエントに質問を重ねながら目標に向かってガイドする方法をとります。
したがって、クライエントから引き出すような質問「誘導による質問(ガイデッド・ディスカバリー)」を行って、クライエントの非機能的な思考パターンや行動を明らかにしていきます。
その際、カウンセラーはあくまでもガイド役であり、クライエントが現実を見つめて、自分で解決方法をディスカバーリー(発見)できるように援助します。
カウンセラーは、クライエントの主体性を尊重し、クライエントが自分の意見を表現しやすい雰囲気を作り出しながら、自分で答えを見つけだしていけるような「ソクラテス的式質問法」などの質問法を使って、考えを浮き彫りにするような関わり方をすることが大切です。